《腎臓におけるプロスタグランジンE受容体の局在

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  腎臓は健康な生体の中では最も豊富にPGE2を産生している臓器です。 従来の研究から、PGE2は、腎血流量や糸球体での濾過量を調節したり、バソプ レッシンという抗利尿ホルモンの作用を調節すると考えられてきましたが、どの受容体が関与するのかは不明でした。そこで、腎臓組織内でどのPGE2受容体 がどのように分布しているのかを調べた結果、EP1、EP3、EP4が全く異なる細胞に局在していることが判りました(1)(図2-1)。
図2-1
  EP1は腎単位の最も下流に位置する集合管に、EP3は遠位尿細管に、EP4は腎糸球体と腎動脈に分布しています。従って、EP1とEP3はそれぞれ集合 管と尿細管で抗利尿ホルモンに拮抗し、EP4は血管平滑筋や糸球体に作用して、血流量と濾過量の調節に関与するものと考えられました(図2-2)。これら の研究発表後、ヒト腎臓でもPGE2受容体は同様の分布を示すことが米国のグループによって確認されています(2)。 図2-2

文献

1. Sugimoto Y, Namba T, Shigemoto R, Negishi M, Ichikawa A, Narumiya S. Distinct cellular localization of mRNAs for three subtypes of prostaglandin E receptor in kidney. Am. J. Physiol., 266: F823-F828. (1994)
2. Breyer MD, Davis L, Jacobson HR, Breyer RM. Differential localization of prostaglandin E receptor subtypes in human kidney. Am. J. Physiol., 270: F912-8. (1996)